考える脳 考えるコンピューターという本を読み終わりました。この本は携帯端末のPalmを作った会社の創業者が書いた本です。
俺は学生時代、人工知能や人工生命にハマって、関連書籍を読み漁った事がありました。ただそれらの本には、概念的な事しか書かれておらず、しかもそれがあまりに複雑すぎた。ここで言う複雑とは理解力の問題ではなく、物凄くややこしい計算を行わなければ、人間と同じ事が認識できないという事です。
そもそも人間は赤ん坊の頃からモノを立体的に知覚し、言語もそれなりに理解できるのに、コンピュータに同じ事をやらそうとすると、研究者が数十人かかっても処理できない。それはおかしいのではないかと、常々思ってたんですよ。この本を読んでその辺りの疑問が解決されました。
この本によると、人間の脳は学習によって予測ができるという事です。そしてその予測こそが知能だと定義しています。当たり前と言えば当たり前の事ですね。にもかかわらず、これまで人間の挙動のみを真似するような、脳の仕組みなんて関係なく結果さえ同じならいいや、という研究ばかりが行われてきた。まあ、脳の機能が完全に解明されてる訳ではないですからね。ついこの間まで、人間は脳の10%しか使っていないとか、普通に信じられてたし。
著者は既存の人工知能とは根本的に違う理論を展開しています。まあ、著者自身も色々な論文を読んで得た知識を発展させているのですが。要は処理のために複雑な機能は必要なく、学習によって複雑さが増す。しかも視覚・聴覚等関係なしにすべて同じ形式で処理される。そうやって蓄えられた成果から、未来を予測する。実に美しいですね。
実際にそれをコンピュータ上で再現しようとすると、まだまだ難しそうですが、方向性は見えたと思います。著者はこの知能をもった機械の利用用途を予測していましたが、やはり日本人ならメイドロボでしょう(笑)